リハビリは、普通に生きていれば若いうちはほとんど関わることがなく、リハビリには理学療法士、作業療法士、言語聴覚士という職種があることすら知られていません。 私も理学療法士を目指す前は「理学療法士て何ですか?」というレベルぐらいにリハビリについて全然知りませんでした。 リハビリの漠然としたイメージは「骨折などの怪我をして歩けなくなった人たちが歩く練習をする」です。 そんなまったく知識のない一般人からみたら、「リハビリてなんかうさんくさいな」と思われてもしょうがない気がします。 実際にリハビリに通っている人でもただの筋トレやマッサージ動く練習だけでは「このリハビリで良くなるのだろうか」と不安に駆られてもしょうがない気がします。 また、理学療法士になって早4年目ですが、私からみても作業療法士のしている積み木や色塗りや工作をしたりと「患者さんと遊んでいるようにしか見えない・・・」と思うことがしばしばです。 要するに先生方の頭の中まで見ることはできないので、しっかり考えられて構築されたリハビリ内容でも傍から見れば「うさんくさい」となってしまうわけです。 リハビリの先生が何をやっているのか患者さんに伝えればいいのでしょうが、先生によってははっきりとした考えをもっていないので伝えられない場合もあります。 私も新人の頃は確かに何も考えずにリハビリをしていました。今を思えば本当に申し訳なかったと思います。 しかし、今ではしているリハビリの内容をしっかりと説明できます。 もちろん中には、勉強もせずただ筋トレをしている先生方もいらっしゃると思います。 権威だけある実力のない理学療法士の先生にも何人にも会ってきました。 そうゆう先生に限って、「患者さんために頑張りなさい」と言うので本当に気持ち悪くてしょうがありませんでした。
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ここでは『理学療法士はうさんくさい』と思われないようにしっかりとリハビリをしている内容についてご説明させていただきます。
目次
理学療法士はうさんくさいのか?
傍から見ればただ「歩くだけ」の歩行練習

病院とかにいけば、理学療法士と患者さんが「ただ歩いているだけ」のときがあります。 傍からみれば、「ただ一緒に歩くだけなら家族でもできるじゃないか。あんなことでお金をとるなんておかしい!」と思われるかもしれません。 しかし、理学療法士は動作分析といって、我々一般人の歩行と比べ、どれだけ違っているか確認しているのです。 横への動揺が大きかったり、つまづきが多ければ、転倒のリスクがあります。 変形性膝関節症の疾患でO脚ならば歩けば歩くほど今後さらに膝を悪くして歩けなくなる可能性もあります。 そういったことがないようにしっかり動作を分析した後に、部分的に関節を柔らかくしたり、個別の筋を筋トレしたりします。 少しずつ動作を修正しているのです。 したがって、ただ歩いているわけではありません。 「患者さんと喋っていてとてもそんなようにはみえない」とおっしゃられる方もいるかもしれませんが、2重課題といって歩きながらおしゃべりをしても注意を欠くことなく歩けているかみています。 高齢者で一番怖いのは『転倒』です。 転倒して骨折となれば、入院生活となり廃用といって筋力や体力が一気に落ち、寝たきり状態になってしまう可能性が高いです。 そうならないようにあらゆる状況で確認しています。
マッサージしているようにしかみえない

理学療法士と聞くとたまに「マッサージ師」と間違われることがあります。 マッサージされることに慣れている人だと、「ここが痛いから揉んでちょうだい」と言われたりします。 しかし、私たちが行っているマッサージと間違えられる筋肉を揉む行為はほとんどが下準備でやっています。 どうゆうことかというと、筋肉には拘縮という固くなって動きずらい部分があります。 それを放置していくら動作を行っても、固まっている筋肉は動いてくれないのですから思うように動けないのです。 皆さんも運動の前はストレッチをすると思いますが、あれと同様の効果と思ってください。 また、筋膜といって人には筋肉が物凄い薄い筋膜という膜で覆われています。 この筋膜のねじれで身体の調子が悪くなる時があります。私達にはマッサージに似た筋膜リリースという手技があり、それと間違われることもしばしばです。 痛みを取るためにマッサージを行うことがありますが、痛みというのは動作にとても影響を及ぼします。 片方の足が痛いとびっこを引くような歩き方になります。 理学療法士がとれる痛みには限度がありますが、少しでも動作に影響を及ばないようにマッサージに似たことを行うこともあります。
ストレッチでお金を取るの?

高齢にならないと分からないのが『関節可動域』という概念です。
ほとんどの人は正常域のフルレンジ関節が動きます。
これが当たり前だと思っているので、日常生活で困ることはまずありません。
しかし、高齢になればなるほど、関節は固まってくるので、バランス能力が落ちるだけでなく、関節が動かないのが原因で転倒する場合があります。
試しに股関節を動かさないでちょっと押してもらってください。健常人でも簡単に転びます。
私たちは、股関節、膝関節、足関節、背骨の関節などが適切に動いてくれるので転ばないのです。
そのため、ストレッチをして少しでも関節を柔らかくします。
難しい話は置いておきますが、一つの関節が動かないと他の関節が余計に動いてしまうので痛みの原因になることもあります。
ストレッチをして関節を柔らかくしておくことは思っている以上に大切です。
ただの雑談としか思えないようなコミュニケーション

理学療法士は意外とよくしゃべります。
「喋ってないでリハビリしろよ」と言われそうですが、ちょっと待ってください。
理学療法士の雑談にはしっかりと意味があります。
日付や今どこにいるのか会話の中で上手く聞き出すことがありますが、見当識という認知症の簡易的なテストをしています。
職業を聞いたりもしますが、既往歴が病歴に影響することがあるので、疾患の原因がどうして起こったのかの判断材料になります。
「運動をします!」と言うと誰もが「疲れるから嫌だ」と思われるでしょう。
誰もがリハビリ意欲が高いわけではないので、趣味を聞いておくことはリハビリ意欲を出してくれるきっかけになります。
そういった情報を雑談で交えながら聞くようにしています。
ただ質問されるだけだと、尋問されているようで嫌になったりしないでしょうか?
私たちは患者さんから信頼関係を得なければリハビリをさせてもらえまえん。
そのために、日々雑談を交えながら信用してもらえるように日々努力をしています。
筋トレするだけなら自分一人でもできる?

人は手を挙げたり、コップを取ったり、歩いたりと当たり前のように動作ができます。 怪我や事故などで体の一部分を損傷しても、変わらずその動作は行えます。 動作はできますが、正しく動作ができているのかどうかはまた別問題です。 人には代償動作というものがありますが、代償動作というのは筋力が低下している筋肉があると他の筋肉が代わりに動いてその動作を行ってくれることを言います。 腕を上げようとしても上がらないので、肩を上げたり、片足を上げようとしても上がらないので体幹部分を曲げて片足を上げたりします。 動作ができていればいいじゃないかと思われるかもしれませんが、これが後々痛みの原因に繋がっていきます。 代償動作がでると他の筋肉が代わりに動くと言いましたが、本来動く必要のない関節が余計に動き、本来動く必要のない筋肉が過剰に働くため、痛みに繋がってくるというわけです。 したがって、代償動作で動作を行っていると筋トレをいくらしてもその代償動作のための筋肉を鍛えるだけで、本来の動きに戻りません。 理学療法士は代償動作を抑えた適切な動きのもとで筋トレさせてくれます。 ジムに行くと、インストラクターが筋トレするときには適切なフォームを教えてくれます。 フォームというのは鍛えたい筋肉を適切に鍛えるために必要な形なのです。 しかし、インストラクターは筋トレのプロであって、日常生活の動作を適切にするプロではありません。 理学療法士はあなたの歩行などの日常生活動作を楽にするための筋トレを適切に行ってくれています。
温めたり、電気をあてるだけでお金をとるの?

理学療法士の治療の中には物理療法といって、体の一部を温めたり、電気を流したり、超音波などで組織を柔らかくしたりします。
ほとんどが対処療法になることが多く、してもらったときは気持ちよくても後日また痛くなる場合も多々あります。
先ほどご説明した通り、人は間違って身に付けてしまった動作を改善しないかぎり生活していると同じ痛みがでてきます。
これはもうどうしようもないことで、週1,2回の20分ぐらいのリハビリでは中々癖とも呼べる動作を変えることは難しいです。
したがって、対処療法で痛みだけ取ることも多く、致し方ない場合もあります。
また、物理療法は人の手では影響を与えられない深部組織に影響を与えることができます。
物理療法を行った後に理学療法士がマッサージをすれば効果は数倍にあがります。
そういった理由で物理療法を使う場合もあります。ただ適当に体を温めて、お金を取っているわけでありません。
うさんくさい理学療法士の見分け方

一番いいのは、自費リハビリという保険外でやっている理学療法士の先生の整体に一度行ってみることです。
そういった先生は実力がなければ食っていけないので、本当に納得いく説明をしてくれます。
私の母が整形の理学療法と整体の理学療法を理学療法士から受けたところ、「笑えるぐらい全然違う」と言っていました。
それほどの腕の差があります。
あなたが「この理学療法士うさんくさいな」と懐疑的なのはあながち間違っていないと思います。
実力のある先生ならばしっかり結果を出せるので、そんなことを思う余地すらありません。
一度本物の理学療法を受けてみてください。そうすれば、ダメな理学療法士を簡単に見極めることができるようになります。
理学療法士はうさんくさい?いえ、リハビリには必ず根拠があります

以上述べてきたように、理学療法士はうさんくさいと思われるかもしれませんが、理学療法士の先生方は必ずリハビリをする際に根拠を持ってリハビリしています。 理学療法士がうさんくさいかどうか見極める方法は、担当の先生に「今しているリハビリはどういった意味があるのですか?」と尋ねるのが一番です。 しっかりとした根拠を説明できない先生は、適当にリハビリをしている可能性があります。 本来ならば、理学療法士が患者さんに1つ1つのリハビリを説明すべきです。 言っても分からないだろうではなく、分かるように説明する義務があると私は思っています。 リハビリを受けてもまったく良くならない場合が多いですが、年齢やもともと理学療法対象外の人もいらっしゃいます。 リハビリをしていると結構痛みがネックになる場合が多いですが、リハビリでとれる痛みと外科的や内科的な処置がいる痛みがあります。 何が原因なのか判断するのがDrなのですが、Drも完璧ではないので、リハビリ対象外であっても理学療法士に患者が回ってくることが多いのが現状です。 やみくもにリハビリをしても治らないからと理学療法士の先生のせいにせず、セカンドオピニオンを受けるなりして、自分で判断していってほしいと思います。 やる気のない勉強もしない理学療法士の先生方がいるのも確かですが、休みの日にセミナーなどに行く勉強熱心な先生方もいらっしゃいます。 そういった先生方は自信を持ってリハビリをしているのでとてもかっこよく見えます。
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