新人理学療法士にお勧めの本。まずリハビリの骨格を作ろう!

新人理学療法士にお勧めの本。まずリハビリの骨格を作ろう!
理学療法士になり新人の頃は何を読んで勉強したらいいのか悩むと思います。

とりあえず、Amazonでランキング1位の本を買ってみたり、レビューが良いモノを買ってみたりと何も考えず手当たり次第読んでいる人が多いのではないでしょうか。

私も新人の頃は、何を読んでいいのか分からず、学校から買った教科書を読んだりしていましたが、出版が古すぎて参考にならなかったり自分が選んで買ったわけではないのでつまらなかったりします。

また、職場の先輩に聞いたりして買って読んだりしてみましたが、自分にはまったく参考にならなかった記憶があります。

多分、先輩自身も何を読んでいいのか分かっていなかったのだろうなと思います。

教科書選びで試行錯誤し気づいたことは、新人の頃に必要なのは自分のリハビリの骨格を作るということです。

経験年数が多くなれば、ある程度経験則から判断して「多分これが原因だろうな」といきなり介入できます。

しかし、新人の頃は評価しないことには何が原因かどうかなんてさっぱり分かりません。

評価をしたところで何をしたらいいのかもさっぱり分かりません。

要するに新人の頃は、リハビリの骨格を作るための知識量が圧倒的に足りないのです。

では効率よく学ぶために何から勉強すべきでしょうか?

リハビリの骨格を作るために、最初の一冊となる本から順をおって紹介していきます。
目次

1年目の理学療法士におすすめの本&動画

新人理学療法士が勉強をしているイメージ
リハビリの骨格を作る参考書は次の4つがお勧めです。

疾患ごとに勉強すると、その疾患のリハビリしかできなくなってしまうため、まずすべての疾患に対応できるリハビリの基礎を勉強しましょう。

1つ1つの疾患ごとに掘り下げていく勉強は2年目以降で十分だと思います。

最初の1冊目 動作のメカニズムがよくわかる 実践! 動作分析

最初の一冊目には『動作のメカニズムがよくわかる 実践! 動作分析』をお勧めします。

なぜこの本を最初の一冊目でお勧めするのかと言うと、動作分析をするにあたり、力学が分かっていないと理解度がまったく違ってくるからです。

力学というと難しいように感じますが、この本は理学療法士に必要な力学だけ動作分析に関係のあるように解説してくれています。

しかも、最初の3~4ページだけ読むだけで済むので負担も少なく、解説も分かりやすいので理解してやすいです。

他にも、起き上がり、立ち上がり、歩行の基礎知識が体系的に解説されています。

ここでは2,3回ざっと読むだけで十分です。

後半の「臨床における動作分析の実際」は読む必要がありませんが、前半部分は良く出来ています。

まず、体系的に動作のメカニズムについて学びましょう。

2冊目 動作分析 臨床活用講座

次にお勧めしたいのが『動作分析 臨床活用講座』です。

実習生の間では白本として有名なのでほとんどの人が持っていると思います。

基本動作(起き上がり、起立・着座、歩行)についてバイオメカニクス(生体力学:生物の構造や運動を力学的に探求したり、その結果を応用したりすることを目的とした学問)に基づいて詳しく解説されています。

患者さんが立てないと「なぜ立てないのだろう?」と考えると思いますが、生体力学的になぜ立てないのかを探っていきます。

例えば、臀部離床ができない人が結構いますが、その原因は脊柱のvertical extension(体幹を働かせること)、腸腰筋による重心移動、慣性、大殿筋によるブレーキなど理由がいくつも挙がっていきます。

立てないとなった時どこかに原因があるのでしょうが、そもそも知識として「なぜ人は立てるのか?」と立てる理由を1つ1つ知っていないと考える余地すら浮かばないのです。

それを立ち上がりを第1~3相に分けて、詳しく解説してくれているのがこの『動作分析 臨床活用講座』です。

同じように「なぜ起き上がれるのか?」「どうやって歩行しているのか」も解説してくれています。

3冊目 動作練習 臨床活用講座

次に読む本は、『動作分析 臨床活用講座』と同じ著者である石井先生の『動作練習 臨床活用講座』です。

『動作分析 臨床活用講座』で理論を学習し、『動作練習 臨床活用講座』で治療技術を学びます。

一部は『動作分析 臨床活用講座』よりもさらに解説が詳しくなり、さらに理解度が高まります。

『動作分析 臨床活用講座』にもハンドリングの一部は載っているのですが、大変分かりにくく、そのハンドリングについてまったく解説されていません。

『動作練習 臨床活用講座』になって初めてハンドリングについて理論を含めて解説されるようになりました。

一部はボバースのテクニックも取り入れているようなので、ボバースを習う足掛りになると思います。

実際にハンドリングで患者さんにアプローチできるので、自分で治療している実感が沸きます。
しかし、教科書ではハンドリングをやっているところが正直にいって分かりにくいです。

そこで登場するのが動画学習です。

私がお勧めするのは『リハノメ』です。
リハノメの良いところ
  • 一か月見放題プランが通常3,080円が初回限定で980円(税込)でみることができる。
  • 長期契約することで割引がある。(例:2年契約で月2181円)
  • 網羅的にリハビリついて学べる(OTST分野、ポジショニング、在宅リハなど)
  • 短時間で1人の先生の講義を要約してみることができる
  • 実際のハンドリングを解説を交えながら勉強できる
ハンドリングは本でみるのと、動画でみるのとでは全然理解度が違ってきます。

『動作分析 臨床活用講座』を読みながら、リハノメで石井先生の動画をみるようにしましょう。

リハノメと対となるリハビリ動画サービスがリハデミーです。

リハデミーは1人の先生の講義数が多く、深く掘り下げて勉強していくことができます。

しかし、リハデミーは2022年7月4日にリニューアルされ正直言って使いにくくなっていますが、過去の石井先生の動画はみることはできます。

石井先生の動画は32本とかなり多く、1本あたり4時間ぐらいのセミナー動画になっているので見るのにかかり時間かかります。

その分深く学べるわけですが、体系的にさっと学びたい場合はリハノメを利用しましょう。

4冊目 マッスルインバランス

皆さんは今までに姿勢の評価、代償動作の評価をしっかりと習ってきたでしょうか?

姿勢の評価をしたいけれど、何をどう見てどう臨床につなげていっていいのかさっぱり分からない。

代償動作を見ても、どこが原因でどうしてそうなるのかさっぱり分からない。

新人の頃は、正常動作と代償動作の区別がつきにくく、なんとなくおかしいなと思う程度です。

『マッスルインバランス』は姿勢の評価方法だけでなく、代償動作を見方も教えてくれます。

読む前と読んだ後では、まったく代償動作の見方が違ってくるでしょう。

この本には、しっかりと代償動作を直す方法も書かれています。

マッスルインバランスの本には2冊ありますが、『マッスルインバランスの理学療法』は理論体系を学ぶことができ、最初の一冊にはお勧めできます。
『マッスルインバランス改善の為の機能的運動療法ガイドブック』は実際の運動療法について詳しく書かれています。

文字よりも写真が主体な構成になっているため、これだけ読んでもいまいち理論が分かりにくいところがあるのでまず最初に『マッスルインバランスの理学療法』から読むようにしましょう。

5冊目 できるセラピストと言われるために3年目までに知っておきたい115のこと

『できるセラピストと言われるために3年目までに知っておきたい115のこと』は全体像を学ぶのに適しています。

我々理学療法士の知識はメインとなる理学療法の知識だけでなく、薬や病気、リスク管理、ポジショニングなど補助的な知識も必要になります。

そういったことをサラッと広く浅く学ぶのに『できるセラピストと言われるために3年目までに知っておきたい115のこと』は適しています。

1つ1つの事柄に対して調べていくとその都度本を買う羽目になりますが、『できるセラピストと言われるために3年目までに知っておきたい115のこと』は新人理学療法士が悩むことが大体網羅されているので大量に本を買う必要がありません。

ただ、この本を最初に買ってしまうと理学療法の楽しさがまったく分からなくなるのでやはり最初は理学療法士の醍醐味といえる動作分析から学ぶようにしましょう。

2年目の理学療法士におすすめの本『脳卒中』

2年目以降から疾患ごとに勉強していきます。

といっても、様々な疾患があるのでメジャーな疾患から勉強していきましょう。

メジャーな疾患というと脳卒中でしょうが、未だにこれだ!という参考書にであったことがありません。



他にも『脳卒中後遺症者へのボバースアプローチ〜基礎編〜 』というボバースの本がありますが、肝心の治療技術については写真はあるもののさっぱり分からないので個人的には脳卒中を学びたいなら、しっかりとセミナーに通う必要があると思います。

脳卒中おすすめ本①『脳卒中の動作分析:臨床推論から治療アプローチまで』

『脳卒中の動作分析:臨床推論から治療アプローチまで』の著者である金子唯史は自費リハでるSTROKE LABを経営されています。

この本の特徴は、脳卒中の動作分析についてボバース理論をふまえながら網羅的に書かれていますが、動作分析としても分かりにくい部分が多くかなりの消化不良を起こします。

治療技術に関してもあくまで紹介程度におさえており、この本を読んでも治療技術には全く生かせません。

では何がいいかと言うと、この後ボバースの本については紹介しますが、ボバース系の理論体系の本はかなり難しく分かりにくいので、脳卒中の初めの一冊として比較的楽にさくさく読めます。(それでも難しいですが・・・)

まずこの一冊で脳卒中の全体像を学ぶのが今後の学習において、大いに役に立つはずです。

脳卒中おすすめ本②『脳卒中後遺症者へのボバースアプローチ〜基礎編〜&~臨床編~』

ボバースを習いたいなら、この本は必読書といえます。

脳卒中の理論体系を余すことなく学ぶことができますが、個人的にはかなり難易度が高い本です。

また、理論体系だけなので、治療技術は写真でしかなく、ほとんど何をしているかさっぱり分かりません。

理論体系をこの本をおさえた上でボバースのベーシックコースなどのセミナーに行かれるのがベストな選択肢です。

因みに私は、老健と回復期で働いているわけではないので、石井先生の理論で脳卒中に応用してリハビリをしています。

結局やっていることは、端的に言えば感覚刺激が弱く筋活動があまりないところにハンドリングで感覚刺激をいれて、筋活動を促進するということだけです。

2年目の理学療法士におすすめの本『膝関節』

脳卒中と同じぐらいに多いのが、整形外科疾患である『膝関節』です。

膝の痛みの訴えは多く、特に高齢者となると膝OAの患者が多くなります。

膝関節の痛みで歩けなくなった患者さんは腐るほど見てきたので、なんとかしてあげたいと思っている新人理学療法士は多いのではないでしょうか。

膝関節おすすめ本①『園部俊晴の臨床『膝関節』』

膝関節の最初の一冊にお勧めなのがこの『園部俊晴の臨床『膝関節』』ですが、かなり分厚い本なので読むのにかなり覚悟は必要です。

園部俊晴先生は伝説の理学療法士入谷誠の一番弟子として有名ですが、園部先生の臨床思考過程は理学療法士としては最高峰であってかとても参考になります。

『園部俊晴の臨床『膝関節』』は、膝関節の主な原因となる9つの原因とそれの対処法が詳しく書かれているため、膝関節の痛みの悩みはかなり減るのではないかと思っています。

さらに、対処療法だけでなく、力学的にアプローチする根本的治療方法も書かれています。

膝関節のROMだけしたり、筋トレだけしたりしてる人にとっては、かなり理学療法士的な治療ができるようになるはずです。

ぜひ手に取って読んでみてください。

新人理学療法士にお勧めの本まとめ

新人理学療法士が勉強をしている姿
新人の理学療法士は、何から勉強していいのか分からないので手あたり次第に本を買ってしまいますが、ほとんど使用せずに本棚の中に並べてあるだけの状態になってしまいます。

ただでさえ理学療法士は給料が低いのに買っても役に立たず読まないことが続くと勉強嫌いになってしまいます。

したがって、読み込む最初の一冊はとても大切です。

何度も言いますが、力学を学び石井先生の2冊の本を読めば、リハビリをする上での骨格は作れます。

あとはそれにプラスして、知識を足していくだけで一通りリハビリはできるようになるでしょう。

慣れない頃はついつい疾患ごとの教科書を買ってしまいますが、まずは基本を押さえましょう。

勉強のやる気が起きず悩んでいる方は下記の記事を参考にしてみてください。
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