悩む理学療法士理学療法士が楽に働ける職場を教えてほしいです。
この記事は、多忙な職場で働いてきた理学療法士に向けて、理学療法士として楽に働ける職場を紹介する内容だ。
理学療法士が働く職場はたくさんあるが、仕事の忙しさはまったく違う。中にはリハビリの単位数が21単位、つまり1日7時間ずっとリハビリを続けなければいけない職場もある。
理学療法士の仕事はリハビリだけではなく、書類業務もある。だから業務時間内に終わらなければ、ほぼ確実に残業になる。
私が思うに、多くの人が求めているのは「人間らしい生活」だと思う。
人間らしい生活とは、残業なしで仕事が終わり、年間休日が120日以上あり、体力的にも精神的にも疲れず、仲間と和気あいあいと楽しく働ける、そんなライフワークバランスの取れた生活だ。
若いうちは多少の無理もきくが、年齢を重ねるほど体力は確実に落ちていく。脳の情報処理能力も衰える。
つまり、20代や30代のときと同じようには働けなくなるということだ。
だから、残業が多い、休日が少ない、仕事が忙しい、リハビリ単位が多い、人間関係がねちっこい――そんな職場は、楽に働きたい私にとっては完全に圏外だ。
「忙しい」という字は「心を亡くす」と書く。まさにその通りで、忙しすぎる職場では心の余裕がなくなる。
私は学生時代、実習で5つの病院を回ったが、どこも忙しく、残業が当たり前のようにあった。
今、私は老人保健施設で理学療法士として働いており、6年目になる。
贔屓するつもりはないが、理学療法士にとって「楽な職場」といえば、やはり老人保健施設(以下、老健)は候補に入ると思う。
というのも、どちらかといえば怠け者の私ですら、老健の仕事は正直かなり楽だと感じているからだ。



介護分野を選択肢に入れると楽な職場で働きやすいです
私はこれまでに2つの老人保健施設で働いた経験がある。だから、老人保健施設は楽だと言い切れる。
介護医療院でも働いたことがある。一人職場で業務自体は楽だったが、話し相手がいなくて精神的に病んだ。
人によっては一人職場の方が気楽でいいという人もいるだろう。
私にとっての楽とあなたにとっての楽は違うと思うので、この記事の内容は参考程度にとどめてほしい。
では、理学療法士にとって楽な職場がどんな場所なのか、順を追って解説していく。
目次
理学療法士にとって老人保健施設が楽な職場である理由
残業がない


理学療法士が楽な職場で働こうと思ったとき、残業がないことは絶対条件だと思う。
私はこれまで2つの老健で働いたが、基本的にはどちらも残業はなかった。
ただし、「基本的には」と言ったのは理由がある。最初に勤めた在宅強化型の老健では、諸事情によりリハビリスタッフがいきなり2人も辞めてしまった。そのため、一時的に残業が発生したことがあった。
その期間は、残ったスタッフで仕事を回す必要があったため、新しい人が補充されるまで残業が続いた。
現在、私は基本型の老健で働いている。
ここでは、1人あたりの担当は「個別リハビリが週1回」「集団リハビリが週1回」「短期集中リハビリが週3回」といった内容だ。
※老人保健施設は、その他型・基本型・加算型・在宅強化型・超強化型の5つに区分されており、それぞれリハビリの回数や時間が異なる。
私が働いている老健は定員70人で、リハビリスタッフは私を含めて2人。
1人あたり35人を受け持っていることになる。数字だけ見ると大変そうに思えるかもしれないが、実際はそうでもない。
なぜなら、集団リハビリで一度に多くの利用者をリハビリできるからだ。
さらに、基本型の個別リハビリには「1単位20分以上」というような時間のしばりがない。自分の裁量でリハビリ時間を調整できるのが大きい。
そのため、1日のリハビリ単位数は10〜12単位ほど。人によっては5分や10分でリハビリを終えることもできる。
病院勤務の経験がある人なら、これがどれだけ少なくて楽かすぐに分かると思う。



え~!そんなに単位数が少ないんだ!老健てめちゃいいね!
これが老健に残業がない理由だ。
ちなみに、私の友人は病院に勤めているが、1日21単位、つまり7時間リハビリをしているそうだ。
書類業務の時間が1時間もないというのは、どう考えても残業ありきの職場だと分かる。
友人は平均して30分から1時間ほど残業していると言っていた。
在宅強化型以上の老健では、もしかすると残業がある場合もある。
というのも、在宅強化型以上では週3回、個別リハビリを20分以上行わなければならず、集団リハビリで代替することができないからだ。
その代わり、PT・OTの人数はかなり多い。
私の現在の職場は基本型でスタッフは2人だが、在宅強化型のときはPT・OTが8人在籍していた。
リハビリ単位数が多ければ人員も増やすのが普通なので、人数が足りていればそれほど大変ではない。
しかし、人数が少ないまま単位数が多いと、当然ながら残業が発生することもある。
それでも、基本型の老健と在宅強化型の老健を比べると、基本型のほうがリハビリ時間を自由に調整できる分だけ圧倒的に楽だ。
※在宅強化型以上は「1回20分以上」と決められているが、加算型以下では時間の指定がない。
結論として、老人保健施設で働くなら、加算型以下の老健を選べば間違いなく残業がなく、楽に働けると思う。
※加算型は基本型と同じく、個別1回・集団1回のリハビリでよい。



残業がないってしあわせだね~!
1日の仕事量が少ない


老健でのリハビリ以外の仕事は、リハビリ計画書の作成、リハビリ予定表づくり、カンファレンス、入所対応、委員会、訪問指導、LIFE提出くらいだと思う。
これらの仕事は人の能力にもよるが、1日2時間ほどリハビリ以外の時間があれば十分こなせる量だ。
さっきも少し触れたように、1日のリハビリ単位数は多くても12単位ほど。
20分×12で240分、つまり約4時間リハビリをすればいい計算になる。
そのため、リハビリ以外の業務をする時間はしっかり確保できる。
つまり、仕事量はリハビリの単位数でほぼ決まると言ってもいい。
先ほど説明したように、加算型以下の老健では個別リハビリが週1回、集団リハビリが週1回(個別を週2回でも可)と決まっている。
だから、入所者全員の1単位分を集団リハビリにまとめてしまえば、リハビリの単位数を減らすことができる。
※ただし、短期集中リハビリ加算を算定している間は、集団リハビリに置き換えることはできない。
リハビリは体力仕事なので、自分の裁量でリハビリ単位数を調整できるのは、理学療法士にとってかなりありがたい。
もちろん、1人職場だと絶望的に大変だが、2人以上いればかなり楽になる。
ただし、老健によってはデイケアを併設しているところもあるため、リハビリスタッフが2人いても、どちらも入所者対応とは限らない。
だから、面接のときには「1日のリハビリ単位数がどれくらいなのか」を必ず確認しておくのがいい。
人間関係が良好


人間関係というのは、多ければ多いほどストレスが溜まりやすいものだ。
でも、老健では少ないところで1人、多くても8人ほどでリハビリを回すことが多い。だから、人間関係でストレスを感じることはあまりない。
世の中の人は、どういうわけか、友達は多い方がええって思い込んでいるけど、 たくさんの人と関われば関わるほど、価値観が合わない知り合いが増える。不安と折り合いをつけて うまいこと老いる生き方
リンク
友達も同僚も同じで、たくさんの人と関われば関わるほど、価値観が合わない人が増えていく。
価値観が合わない人と付き合えば付き合うほどストレスが溜まるから、深く関わらないほうが絶対に楽だ。
私が最初に勤めた老健を辞めて転職した理由も、人間関係の悪化が原因だった。
それくらい人間関係というのは、職場が楽かどうかに大きく影響する。
人間関係のトラブルは、同僚と一定の距離感を保てばある程度は回避できる。
同僚と仲が良くなっても、必ずしも自分を助けてくれるとは限らない。 むしろ、仲がいい人ほど、いい距離感と少しのあきらめが必要だと思う。



同僚に求めすぎることが人間関係で揉める元だよね。
年間休日が多い


理学療法士の業界は、びっくりするくらい年間休日が少ない。
私がこれまで見てきた求人では、年間休日が105〜110日というところが一番多く、120日以上ある職場はめったにない。
つまり、週休二日制でも祝日が休みではなく、さらに夏季休暇もなく、年末年始もほとんど休めないというのが現実だ。
多くの人は休みの少なさをあまり深く考えないけれど、たとえ給料が高く見えても、年間休日が少なければ実際の時給は下がる。
「月給 ÷ 出勤日 ÷ 労働時間」で時給を計算すると、出勤日が多ければ当然ながら時給は低くなる。
年間休日が少ないのは老健でも同じで、病院・老健・訪問リハビリといった職種の違いというより、会社ごとの方針で決まる部分が大きい。
当然、年間休日が少なければ楽な職場とは言えない。
私がこれまで勤めた2つの老人保健施設は、どちらも年間休日が多く、働きやすかった。
ただ、それは単に私が求人票の中から年間休日が多い職場を選んだだけであって、すべての老健が休日が多いわけではない。



年間休日が多いところに条件を絞って探すしかないんだね。
また、年間休日が多くても、有給が取りにくい職場なら意味がない。
私の職場は2人でリハビリを回しているが、特に問題なく有給が取れている。
休憩時間がある





勤務時間内に休憩時間がある職場なんてあるのですか?
働くうえで心のゆとりを持つには、休憩時間や同僚とのちょっとした談笑の時間が欠かせない。
お昼休憩はどこでも1時間あるが、最初に勤めた老人保健施設では集団リハビリの準備があって、ほとんど休憩時間がなかった。
リハビリとリハビリの合間の隙間時間も、病院ではほとんど取れない。先生たちが談笑を始めるのは、だいたい業務が終わったあとだ。
隙間時間の休憩は上司の働き方によってかなり左右される。職場が厳しいところだと、ほぼ休憩なしで動きっぱなしになる。
今の職場も前の職場も、いい意味でも悪い意味でも上司があまり仕事をしたくないタイプなので、隙間時間の休憩はたっぷりある。
今働いている職場では、朝にドリップコーヒーを淹れて、お菓子をつまむ時間があるくらい、ゆとりのある環境だ。



まさに私の理想の環境です!仕事サボるの大好き!
私の感覚では、職場の規模が大きいほど体制がしっかりしている分、隙間時間の休憩が取りにくい傾向にある。
逆に、規模が小さい職場ほど組織全体のレベルが緩く、あまり「儲けよう」という意識もないので、のんびりしている印象がある。
老健は、さっきも話したようにスタッフの人数が少なく、病院ほど体制が整っていない。
だから、どちらかといえば緩い職場の部類に入ると思う。
勉強会がない





業務時間外の勉強会とかカンベンしてほしいです。
勉強会に関しては、リハビリスタッフの人数によって明らかに変わってくる。
リハビリスタッフが多いということは、つまり施設の規模が大きく、体制がしっかりしているということだ。
そのぶん、新人教育にも力を入れている。
私が最初に勤めた老健もスタッフが多かったので、「新人教育」という名目で何度も勉強会や症例検討をやらされた。
業務の合間や残業時間、あるいは休日を使っての勉強会もあり、正直かなりの手間だった。
今の職場は理学療法士が2人しかいない。
上司もわざわざ仕事の手間が増えるような勉強会をやろうとは言い出さないし、仲も良いので断っても小言を言われることはない。
だから、勉強会がない職場を探したいなら、理学療法士の人数が少ないところを選ぶのが一番だと思う。
ただし、人数が少なすぎてぎりぎりの体制で回している職場もあるので、ブラックかどうかの見極めは必要になる。



勉強会がないって最高だあああ!!!
規模が小さい





職場の規模が大きいほど、仕事は厳しいのでしょうか?
職場の雰囲気は、ほとんど上司の人柄で決まる。
上司が真面目すぎると職場全体が重苦しくなるし、逆に上司が能天気なタイプだと、ある程度気ままにやっても許されることが多い。
また、職場の規模が大きいほど組織としての形がしっかりしている分、半端な仕事では通用しない空気がある。
カンファレンスの規模も大きく、多職種でしっかりした会議を行わなければならない。
私もバイザーについて何度かカンファレンスに出たことがあるが、大きな病院ほど会議の精度が高く、その独特の緊張感には何度体験しても慣れなかった。
一方で、クリニックや施設などの小さな職場では、会議で話す人が限られているため、名前も職員の特徴も把握しやすく、ストレスは少ない。
カンファレンス自体もアットホームな雰囲気になりやすく、自然と自分の意見を言いやすくなる。
とはいえ、規模が小さい職場ほど噂は広まりやすい。
一度不評が立つと、いわゆる村八分のような状態になるリスクもある。
私の今の老健のカンファレンスも、小規模ということもあって、ほとんど世間話のような雰囲気だ。
周りの視線を気にせず、気楽に自分のリハビリに対する考えを話せる。
大勢とのコミュニケーションが苦手な人や、気楽に働きたい人には、ある程度ゆるくても許される小さい職場のほうが向いていると思う。



ドクターに睨まれながらカンファレンスするの嫌です・・・。
ある程度自由がきく





老健は自由にリハビリが出来ますか?
職場によっては、リハビリのやり方があらかじめ決められていて、自分のやり方でリハビリができないところもあるようだ。
自由に仕事をさせてもらえるかどうかは、やはり職場の規模によるところが大きく、規模が大きい職場ほど自由がない。
今の職場では、自分がやりたいリハビリを自由にやらせてもらっているので、私はこの職場をとても気に入っている。
患者さんのQOLを考えると、リハビリだけでなく趣味の手伝いや生活支援といった「+α」の関わりがどうしても必要になる。
もちろん、患者さんに入れ込みすぎるのも良くないが、逆に関わらなさすぎるのも良くない。
マニュアルどおりのリハビリだけで、どうやって一人ひとりに合わせた対応ができるのだろうか。
私は、常に患者さんの声に耳を傾けながら、その人に合ったリハビリをその都度変えて行っている。
かたい雰囲気の職場では、どうしても型どおりのリハビリしかできないが、ゆるい雰囲気の職場なら自分の裁量で動ける。
自分のやりたいリハビリを、自分のやりたいようにできる職場ほど、楽に働ける場所はないと思う。
責任があまりない





老健は責任があったりするのですか?
仕事の責任とストレスは比例する。
大きな病院ほど、役職がつくほど、そして経験年数が上がるほど、仕事の責任はどんどん増えていく。
でも、老健では役職がつくことはほとんどなく、みんなほぼ平社員だ。
責任は規模の大きい職場ほど重くなる。だから、楽に働きたいなら、できるだけ規模の小さい職場や、経営者の考えがゆるい職場を選ぶのがいい。
もちろん、医療従事者である以上、リハビリ中のリスク管理という責任は常に背負っている。
もしリハビリ中に患者さんに何かあれば、それは理学療法士の責任になる。
そう考えると、私たちの仕事は常にプレッシャーの中にある。
私としては、責任を負うだけの給料をもらっているなら仕方ないと思うが、理学療法士は責任のわりに給料が低く、正直わりに合わない。
老健で背負う責任は、患者さんのリスク管理といった最低限のものに限られる。
だから、他の職場に比べれば、老健はかなり楽だと思う。
理学療法士が楽な職場を探すための求人のポイント
年中求人がある会社は避ける
転職活動をしていると、年中求人情報が載っている会社をよく見かける。
そういった職場は、タイムカードを勝手に切られる、業務後に勉強会があるなど、悪い噂が多い。
年中求人が出ているということは、仕事が長く続かず、辞める人が多いということでもあり、ブラック企業の可能性が高い。
とはいえ、雇用条件が悪くてずっと求人を出しているものの、応募がまったくない会社もある。
(まあ、そんな条件の悪い会社にわざわざ働きたい人は少ないと思うが……。)
できるだけ、年中求人を出している会社は避けたほうがいい。
残業時間をみる
当たり前のことだけど、求人情報を見るときは必ず残業時間をチェックするようにしたほうがいい。
たとえば、残業時間が月10時間と書かれていた場合、20日勤務とすると1日あたり約30分の残業がある計算になる。
ただ、残業時間は会社によってごまかしていることも多いので、実際に入ってみないと分からない部分もある。
だからこそ、面接のときには必ず「1日の残業時間はどれくらいありますか?」と聞くようにしたほうがいい。
「そんなこと聞いたら印象が悪くなるんじゃないか」と思うかもしれないが、あとで「求人情報と違うじゃないか!」と不満を言うよりずっとマシだ。
転職活動で受け身になってしまうと、会社側の都合のいいように働かされる。
私は年間休日だけは絶対に妥協したくなかったので、面接のときにしっかり条件を提示した。
面接では、遠慮してはいけない。
それに、給料が高そうに見えても「固定残業代」として最初から残業費が組み込まれている場合もあるので、その点も注意が必要だ。
年間休日をみる
医療職は、一般職に比べて年間休日が少ないことはさっきも話したとおりだ。
理学療法士の場合、1日のリハビリ単位数を増やして回転率を上げるほうが経営的に合理的だから、どうしても年間休日が少なくなりやすい。
とはいえ、理学療法士の求人でも年間休日が120日以上の職場は、探せば必ずある。
ただし、「給料が高い」「残業がない」「年間休日が多い」といった希望ばかりを並べて探しても、まずそんな理想的な職場は見つからない。どこかで妥協は必要だ。
私の場合は、給料にはこだわらず、実家から通える範囲で年間休日が多く、残業のない職場を選んだ。
給料と仕事のラクさはトレードオフだと思っている。
給料が高いということは、それだけ仕事が多く、職場が繁盛しているということでもある。
「楽して高い給料をもらう」というのは誰でも理想だが、そんな職場はほとんど存在しない。
だから、仕事の楽さを求めるなら、給料はある程度あきらめたほうが無難だ。
それに、リハビリ業界自体がもともと給料を低めに設定しているので、どの職場も正直どんぐりの背比べだと思う。
それなら、少しでも仕事が楽な職場を選んだほうが、賢い選択じゃないだろうか。
仕事内容でみる



仕事内容が楽かどうかはどうやって調べたらいいのでしょうか?
さっきも説明したとおり、職場は規模が大きいほど、そして施設よりも病院のほうが仕事が大変になる。
おすすめは、繰り返しになるが「加算型以下の老人保健施設」だ。
求人先の老健が加算型以下かどうかを調べたい場合は、介護老人保健施設の「施設紹介サイト」を見ると分かりやすい。
加算型以下の老健では、短期集中リハビリはあるものの、基本は「週1回20分以内の個別リハビリ」と「週1回20分以内の集団リハビリ」で構成されている。
この仕組みのおかげで、単位数をかなり減らすことができる。
20分という時間の縛りがないことが、どれだけ楽かは、リハビリをしている人なら一番よく分かると思う。
見学に行く
どんなリハビリをしているかを見るだけでも、その職場のレベルがある程度分かる。
また、職場にいる先生たちの話を聞けば、その施設がどんな方向を目指しているのかも見えてくるはずだ。
もちろん、短時間の見学で職場のすべてを理解することはできない。
それでも、実際に行ってみれば「ここで働きたい」「ここはやめておこう」といった直感は感じ取れると思う。
職員の表情や仕事ぶり、施設の飾りつけ、清潔さ、利用者さんへの対応など、少し見るだけでも分かることはたくさんある。
私は、職員の笑顔が見られる職場はいい職場だと思っている。
だからこそ、ぜひ一度見学して、自分の目で確かめてみてほしい。
非常勤で働いてみる
職場選びで絶対に失敗したくない人は、本職を続けながら非常勤で働いてみるのもありだと思う。
私の友達の中にも、病院勤務をしながら別のデイケアでアルバイトをしている人がいる。
また、老健で働きながら整形外科のクリニックで掛け持ちしていた友達もいた。
職場の人間関係や仕事のゆるさ、勤務時間などは、実際に働いてみないと分からないことが多い。
見学をさせてくれる職場も多いけれど、誰でも見学のときは表面を取り繕うものだ。
だから、実際に人間関係がいいかどうかまでは見抜けない。
求人を見ていると、正社員募集の職場でも非常勤を同時に募集していることが多い。
非常勤から正社員になれるかどうかは職場によるが、面接のときにその意向をしっかり伝えておけば問題ないと思う。
理学療法士が楽な職場で働くなら?
転職してから自分で楽な職場に変えていくのもあり


大きい規模の職場では難しいが、一人職場や二人しかいない職場なら、自分のやり方に合わせて仕事のスタイルを変えていくことは十分可能だ。
理学療法士が忙しいのは、単純にみんな真面目すぎるからだと思う。
仕事の手を抜くことを少しずつ覚えていかない限り、永遠に楽して働くことはできない。
こんなことを言うと、真面目に仕事をしている人たちは怒るかもしれないが、人の価値観はそれぞれだ。自分の考えを押し付けることはできない。
もちろん、サボりすぎれば経営陣から注意されることもあるかもしれない。
でも、仕事中のすべてを監視されているわけではない。
そもそも会社なんて、必要がなくなればあっさりクビを切るような関係だ。
だから、滅私奉公で頑張る必要なんてない。
楽な職場で働く場合、給料は副業でカバーする





楽に働きたいですが、給料も諦めたくありません。
さっき、給料の高さと忙しさは比例するという話をした。
つまり、理学療法士として楽に働こうと思ったら、どうしても給料面はある程度あきらめるしかない。
とはいえ、楽に働きたいけれど年収も増やしたいと思うのが人の常だと思う。
私が出した結論は、「理学療法士が楽な職場で働くなら、給料は副業でカバーする」ということだ。
副業はリスクが少なく、簡単に始められる。何より、自分の好きなことを仕事にできる。
だから、副業といっても趣味に近く、片手間でやっても苦にならない。
もちろん、楽に働くために残業がなく年間休日の多い職場を選んでも、空いた時間にまた理学療法士の仕事を副業でやるのは本末転倒だ。
けれど、自分が本当に好きなことを副業にするなら、「楽に働く」という考えには反しない。
それに、理学療法士の仕事は体力仕事なので、いずれは移乗や介助がきつくなり、年齢的に限界がくる。
だからこそ、今のうちにデスクワーク系の副業を始めておけば、老後の不安も減り、何より長く続けられる。
私も副業を始めて2年以上になるが、片手間でやっているので苦痛に感じたことはない。
仕事で楽をしながら収入も増やしたいなら、副業を考えてみる価値は十分あると思う。
理学療法士にとって楽な職場は加算型以下の老健です!
私の知っている限りでは、理学療法士にとって一番楽な職場は「加算型以下の老人保健施設」だと思う。
これまでも何度か話してきたが、私が働いている基本型の老人保健施設はリハビリスタッフが2人しかおらず、定員は70床。デイケアも中止しているので、仕事はかなり楽だ。
短期集中リハビリは週3回だけで、1日のリハビリ単位数はおおよそ10単位ほど。
さらに、介護ソフトが導入されているおかげで、デスクワークもすぐ終わる。
もちろん、楽をするためには業務の効率化が欠かせない。
同僚と相談しながら、できるだけ無駄を減らすように工夫している。
その結果、残業もなく、仕事の合間にティータイムを取るくらいの余裕がある。
(もちろん仕事はちゃんとしている)
年間休日は土日祝休みで、夏季休暇と年末年始の休みもある。
これだけで年間休日は120日を超える。
給料はそこまで高くない(手取りで21万円ほど)が、仕事の内容にはとても満足している。
すべての職場が同じとは限らないが、前の職場も定時で帰れて、デイケアがあっても人手が多かったので負担は少なかった。
病院でバリバリ働いてきた人も、40代になると体力が一気に落ちてくる。
それなら、介護業界の中で少しでも楽な職場に転職するのも一つの選択肢だと思う。
病院には病院のやりがいがあり、介護施設には介護施設のやりがいがある。
自分に合った「楽に働ける職場」を、ぜひ探してみてほしい。


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