理学療法士の仕事をする上で必要な能力は何でしょうか。
なんとなく必要そうな能力と実際の臨床の現場で必要な能力には違いがあります。
なんとなく必要そうな能力は『コミュニケーション能力』『理学療法の知識』『理学療法の技術』でしょうが、これらは学校で学んできたことばかりです。
実際の臨床の現場ではさらに『体力』『観察力』『忍耐力』『理学療法以外の医療の知識』『ピラティスやヨガや整体などの他分野の知識や技術』『福祉用具の知識』『住宅環境の知識』などなど枚挙にいとまがありません。
すなわち理学療法士に必要な能力は「一概にこれだ!」と言い切れないところがあります。
それに、幅広く学んだ方が色々な角度からリハビリを見ることができます。
しかし、皆さんが本当に知りたいことは理学療法士に必要な能力をどうやって身に付けたらいいのかに尽きるでしょう。
ほとんどの能力は臨床を通して学ぶしかないのが答えですが、臨床以外でも努力次第でなんとかなるものももちろんあります。
ここでは理学療法士に必要な能力と臨床以外で身に付けられる能力に絞って解説していきたいと思います。
目次
理学療法士に必要な能力
献身のこころ

理学療法士と言う前に医療人である以上、一番必要になってくるのが献身のこころです。
患者さんを理解し、思いやり、相手の立場になって考えられないようでは良い医療人とはいえません。
どうしても技術を追求していくと、患者さんを喜ばせることが二の次になり、自分の技術を高めることばかりに目がいってしまいます。
あなたはゴッドハンドを手に入れて何がしたいのでしょうか?単なる自己満足なのでしょうか?
自分が向かっている方向性がズレると、自分が何をしているのか分からなくなります。
「もらった才能や勲章は決して自分をいばらせるためにあるんじゃない。その力を使って誰かに喜ばれるためにあるもの」母のこの言葉は僕の中で、今も最も心に残っているものの1つだ。
喜ばれる人になりなさい 母が残してくれた、たった1つの大切なこと
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医療人としての心構えを学びたい方は上記の本をお勧めします。 献身のこころは簡単に身につくものではないのかもしれませんが、少なくとも私はこの本からかなりの影響を受けました。 小さな灯でもいいので、あなたの心の中に少しでも医療人としての心が生まれることを願っています。
理学療法の知識

当たり前ですが、理学療法士なのですから、理学療法の知識は学校を卒業した後も常にアップデートしていかなければなりません。 学校で習うことは、ほとんど基本的なことで治療技術についてはまったく習わないどころか、評価方法もごく一部しか学んでいません。 要するに勉強しないと理学療法士として何もできないと同意義です。 私の勉強方法は、専門書は情報量が多すぎて体系的に学べないので、ほとんどが動画学習です。 掘り下げたいときだけ、専門書を読むようにしています。 動画学習できるサイトはいくつかありますが、個人的にお気に入りなのがリハデミーのセミナー講座です。 リハノメは、学校の授業の延長のような形式なのでつまらなく、今は私は利用していません。 といっても、リハデミーもリニューアルしてからかなり使いにくくなりました。 私は旧リハデミーにアクセスして昔の動画で勉強しています。 詳しくは下記の記事を参考にしてください。
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体力

理学療法士の仕事は肉体労働です。
職場によって1日のリハビリの単位数は色々ですが、私の職場では1日12~13単位、友達の病院では21単位と7時間近くずっとリハビリをしています。
7時間ずっと立ち仕事というわけでもないし、ずっと立ち上がりや移乗を介助しているわけでもないですが、それでも歳をとればとるほど、体力が減っていきどんどん辛くなってきます。
したがって、普段から体力づくりをしていないと息を切らしながらリハビリをする羽目になるので、誰のリハビリをしているのか分からない状態になります。
歳を取れば取るほど管理職になりやすいので臨床から離れることになり、リハビリの単位数は減ると思いますが、そうでなければ、体力づくりとしていないと定年までもちません。
普段から散歩やランニングでいいのでするようにしましょう。
因みに、散歩をするなら朝が断然お勧めです。理由は下記の記事で解説しています。
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ケアプランの知識

理学療法士は自分で短期目標と長期目標を考えることが多いでしょうが、そもそもケアプランに沿って立てているでしょうか? 理学療法士が立てる目標は機能回復に偏りがたく、患者さんのQOLの向上に本当に繋がっているのか甚だ疑問です。 優秀なケアマネジャーがたてるケアプランをみると、本当によく全体像がみえています。 私たちのリハビリはあくまでケアプランの中の一部分であり、すべてではないことを覚えておかなければなりません。 平行棒で歩けるようになったからと言って、それが今後の生活でいかせるのでしょうか? 理学療法だけ学んでいるとどうしても視野が狭くなりがちです。 学び方としてはリハデミーの中にある石井慎一郎先生の『戦略的思考に基づいたリハビリテーションアプローチ』の講義が目標設定を学ぶのにお勧めです。 そして、何よりもケアマネが作ったケアプランをよく読んでみましょう。ベテランのケアマネのケアプランならば患者さんに何が一番必要なのかよく分かるはずです。
毎日笑顔で元気でいられる

患者さんのメンタルは意外と療法士のメンタルに引っ張られます。
つまりは、療法士が暗い顔をしていれば、患者さんの気持ちもふさがってきますし、療法士が明るく元気ならば患者さんも自然と笑顔になります。
ただでさえ長い闘病生活で疲れ果てているところに、疲れた顔の療法士にリハビリされては、余計に患者さんは疲れ果ててしまいます。
理学療法士も人間なので毎日元気で明るく笑顔でいることは難しいでしょう。
しかし、それでも楽観的に考える理学療法士でいなければ、患者さんに負の感情を与えてしまいます。
自分のメンタルの管理する上でのお勧めは『まぁいいか』を口癖にすることです。
仕事で落ち込みやすい人は、仕事をまじめにやりすぎです。全力でやることが、必ずしもいい結果が生まれるわけではありあません。
仕事なんてテキトーでいいのです。
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この文章を読んで「仕事をテキトーにやるなんて、ふざけるな!」と思うかもしれませんが、そういった考えが自分を苦しめていることに気付かない限りは永遠に変われないでしょう。 読書としては下記の本をお勧めします。 精神科医で88歳のときに書かれた本ですが、たくさんの患者さんの悩みを聞いてきているので、言葉にとても重みがあります。 年長者の生き方は人生がどうゆうものかよく分かっているので、とても参考になります。
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コミュニケーション能力

理学療法士の一番ネックになるのが人間関係です。
同僚だけでなく、患者さんともコミュニケーションをとる必要があるためコミュニケーション能力は必須といえます。
医療人といえども、職場の人間関係には本当に悩まされます。
私は職場の人間関係の悪化により一度転職を余儀なくされました。
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人間関係で一番大切なことはやはり距離感です。
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相手から近づいてくれる人には「ありがとう」と感謝し、相手が離れていく場合にはそのまま離れさせてあげればいいです。 来るもの拒まず、去る者追わずの人間関係の距離感が結局一番うまくいきます。 そしてもうひとつ大切なことが、他人を変えることはどうやってもできません。 何言っても変わることはありません。何かを言ってお互いストレスをためるよりは、「そうゆう人なんだ」と割り切った方が早いです。 他人に感情移入することなく、つかず離れずの関係で付き合っていきましょう。
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理学療法士に必要な能力まとめ

今回はあまりメジャーではない理学療法士に必要な能力を紹介させていただきました。
理学療法士に必要な能力は働いていれば自ずと身についてくるものばかりですが、理学療法士にとって何より一番必要なことは一生理学療法士として続けられることです。
そのためには、理学療法士の仕事を楽しむ必要があります。
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自分の心が満ち足りていないと、患者さんに優しくしたり、仕事を頑張ろうという気力が湧いてきません。 私たちは自分で自分自身のご機嫌を取る必要があります。 それにプラスして理学療法士に必要な能力を一つ一つ身に付けていきましょう。 私も未熟で仕事をしていても失敗だらけですが、自分なりに無理をせず理学療法士に向き合っているつもりです。 一生満足することはないでしょうが、のんびりとやっていきます。

焦らず、ゆっくりとやっていこ~