
最後まで認知症にならずに生きたいです
こんなお悩みを解決します。 私は職業柄、認知症の方と接することが多いため、最後まで一人で生き抜こうと考えているならば、認知症にならないことは必須だと思っています。 現在20~50代の方は先のことなので、自分は認知症になるはずないと思っているのではないでしょうか? 私の働いている老人保健施設では70歳という若い年代でも認知症の方がいらしゃいます。 巷で見る認知症の方は、呆けている程度が多いですが、認知症が進みすぎると人が人でなくなります。 認知症の怖いところは、自分が認知症ということに気づくことすらできず、物忘れが多くなったと楽観的に考えてしまうところです。 認知症=不幸ではないですが、最後まで自分らしく自由に生きるには認知症にならないよう取り組む必要があります。 それをここではご紹介します。※以下の文章は浦上 克哉さんの『科学的に正しい認知症予防講義』を参考にして書いています。
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目次
認知症になるとどうなる?
認知症というと物忘れ(記憶障害)のイメージが強いですが、他にも料理が難しくなる(実行機能障害)、人の見分けが付かなったり(見当識障害)します。 認知症の家族がいる方は経験していると思いますが行動・心理症状(BPSD)が見られる方もいます。
BPSD
- 道に迷う(徘徊)
- 大声で怒鳴る・暴力をふるう(暴言・暴力)
- 知らない人に触ってほしくない。怖い。(介護拒否)
- (自分で片づけた場所を忘れて)財布が盗まれた!(妄想)
認知症は記憶障害の方がほとんどです。 施設にいる間は他者にそれほど迷惑をかけないので特に問題になることはありません。 しかし、私が勤めている老人保健施設で問題になることが多いのが、大声で怒鳴ったり、人を殴ったりする暴言・暴力です。 人のモノを勝手に食べたり、ずっと同じセリフを一日中大きい声で発し続けたりします(結構うるさい)。 要するに他人に迷惑になる行為をする人です。 こういった場合、精神薬で落ち着かせることが多いですが、副作用もあり、ほとんど無気力な(言葉は悪いですが)生きる屍みたいな状態になります。 もはや意識もほとんどなく涎をずっと垂らしている状態ですから、もはや人間性は皆無です。 クレームがでそうですが、家族さんも自宅で預かることができないので、本人の意思を無視した状態で、目をつぶった状態で施設に預ける形が多いです。 私が一番認知症になって嫌だなと思うことは、清潔不潔の区別がつかなくなることです。 トイレに手をつっこんだり、便をそのまま触ったり、お尻に便がついたままでも平気な顔をしています。 家族さんが家で預かりたくない原因の1つがこの便の処理でしょう。他人の便ほど臭いものはありません。 これが現実です。親を預けていた家族も、次は我が身です。こうなりたくないのならば、今から対策しましょう。
認知症は完治しない
有名なアルツハイマー型認知症は、認知症の中で最も多く、脳神経が変性して脳の一部が萎縮・破壊されていく過程でおきる認知症です
認知症の勘違いで多いのが、認知症になってから薬を飲んだり、認知機能訓練をしても元に戻ることはありません。
理由としては簡単で、脳の神経細胞が破壊されたら最後、再生することはないからです。
ではなぜ、薬を飲んだり、認知機能訓練をするのかというと早期治療・ケアにより症状の悪化を緩やかにできるからです。
脳の変化は発症の20年前から始まっている
アルツハイマー型認知症は脳にアミロイドβなどのタンパク質が溜まり、脳の神経細胞が壊されてしまうことで起こります。 実は、このアミロイドβが溜まり始めるのが発症の20年くらい前からです。 現在、アミロイドβを取り除く薬はありません。 認知症だと気づいた時には、アミロイドβが溜まり切った状態なため、早期から認知症予防を取り組む必要があります。 実際に軽度に記憶障害が増えてきているが、日常生活や社会生活に支障がない状態(軽度認知障害)のレベルならば間に合う可能性があります。
軽度認知障害(MCI)
MCIは、本人も周りの人も記憶障害(もの忘れ)が増えてきていることに気付いているが、その他の症状はなく、日常生活や社会生活には支障がない状態のことです。 もの忘れが心配になって医師に診てもらっても「認知症ではない」と診断されます。 MCIから健常者に回復する率は1年で16%~41%でそのまま軽度認知症になってしまう人は1年でおよそ5~15%いらっしゃいます。※参照元:認知症疾患診療ガイドライン2017.CQ 4b-2,147 したがって、「最近もの忘れが多くなってきたな」と思ったら、この記事の後半で紹介している認知症予防を行い、積極的に脳を使うようにしましょう。 たとえ認知症を発症した後でも、認知症予防を行うことで症状の進行を遅らせることができ、本人や家族が望む暮らしをできる限り長く続けることができます。
アルツハイマー型認知症では睡眠が大切
アルツハイマー型認知症では脳内にアミロイドβというタンパク質が溜まってしまいます。
しかし、良い睡眠がとれている人はこのタンパク質が溜まりにくく、睡眠の質が悪い人では溜まりやすいという研究結果がでています。
つまり、良い睡眠の質を向上させることが認知症の予防に繋がります。
認知症の発症リスク因子
認知症の発症リスク因子
- 難聴(8%)
- 知的好奇心の低さ(7%)
- 喫煙(5%)
- 抑うつ(4%)
- 社会的孤立(4%)
- 頭部外傷(3%)
- 運動不足(2%)
- 高血圧(2%)
- 大気汚染(2%)
- 過剰飲酒(1%)
- 糖尿病(1%)
- 肥満(1%)
現在分かっている認知症の発症リスク因子は12因子あり、すべて足すと40%になります つまり、ここに書いてあることを気にして生活すれば認知症のリスクを4割減らせることになります。
70歳で認知症にならないためには?
たったの3つの習慣で、12の認知症リスク因子の対策を!
認知症予防のために3つの習慣は、運動・知的活動・コミュニケーションの3つです。
認知症の発症リスクは、先ほども説明した通り、①難聴②社会的孤立③抑うつ④喫煙⑤大気汚染⑥高血圧⑦糖尿病⑧肥満⑨運動不足⑩頭部外傷⑪会場飲酒⑫知的好奇心の低さです。
運動習慣が身に付けば、⑦運動不足や⑧肥満や生活習慣病(⑥高血圧、⑦糖尿病)の治療になります。
③抑うつ予防や転倒予防(⑩頭部外傷)も期待できます。
知的活動は⑫知的好奇心を持ち続けることで認知症になりにくい頭をつくります。
コミュニケーションは②社会的孤立や③抑うつを遠ざけます。
運動習慣
1日に30分以上は身体を動かすようにしてください。
認知症の体操は「とっとり方式認知症予防運動プログラム」と呼ばれるものがあります。
高齢者の方にはよい運動ですが、20~50代の方にはわざわざ体操を行うのは退屈するかもしれません。
私がおススメするのは散歩です。
飽きることなく、気軽に軽度の運動で有酸素運動を行うことができます。
朝の散歩のススメについてはこちらを参考にしてみてください。
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知的活動
自分が楽しいと感じること好きなことを日課にしてください。
歌を歌う、本を読む、絵を描くなど、なんでもいいです。
マンネリ化しないためには、常に新しいことに挑戦することが大切です。
私のおすすめ知的活動は、読書とブログでのアウトプットです。
この組み合わせは相性がよく、ブログで記事を書くことで読んだ本の内容が頭の中で整理されます。
また、リライト(記事を新しく編集する)場合に復習となるので、知識に定着しやすくなります。
手軽に始めれる趣味ブログについてはこちらを参考にしてください。
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コロナ化であるため、中々積極的にコミュニケーションとは言いにくい時代です。 しかし、最近ではオンラインで会話しやすくなり、私もたまにオンライン飲み会などをすることがあります。 歳を取れば取るほど、社会的に孤立しやすいので要注意です。 趣味活動でいいので、今から何かしらのコミュニティを持っておくことをお勧めします。 もし今要介護認定を受けているのなら、デイサービスやデイケアを利用しましょう。 人と関わることで楽しい時間を送れるはずです。 私は職柄、人と話すことが多いですが、他者と一定の距離を保つことで心地よいコミュニケーションが行えています。 そちらに関しては下の記事に詳しく書いています。
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70歳で認知症にならないために
独りで生きていく方、そうでない方も今後は認知症対策は必要となります。
現在、65歳以上の約16%が認知症であるそうです。70歳は若いと思っていても認知症になる時代です。
80歳代の後半であれば男性の35%、女性の44%、95歳を過ぎると男性の51%、女性の84%が認知症であることが明らかにされています
日本では今後10年以内に認知症の人が700万人を超え、高齢者の5人に1人が認知症という時代がやってくるといわれています。
この数字を見る限り他人事ではありません。
たとえ、体が元気であっても認知症になれば、家族が世話することが難しくなり、施設に入ることを余儀なくされます。
老人保健施設は悲観するような場所ではありませんが、自由に制限がかかるのは確かです。
老人保健施設での暮らしを知りたい方は下記の記事を参考にしてください。
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最後まで自分らしく生きるために認知症対策はしっかりしていきましょう。
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